一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会

坂の上に建つ洋館の趣き漂う二世帯住宅

庭へとつながる通り土間を介し独立した二住居が向かい合う

▲傾斜地を活かして、半地下(地階)にビルトインガレージが配置されたスキップフロアによる5層構成の二世帯住宅。二連の切妻屋根と大きな出窓、煙突など洋館建築の外観デザインが取り入れられている。外壁にはブラウン系のサイディング、玄関ポーチにはアンティークレンガ、また木製のガレージドアが採用され、重厚感が演出されている。


 閑静な住宅地のなか、上り坂の正面に見えるのは、凛とそびえる急勾配屋根の家。大きな出窓や煙突、アーチの入り口の玄関ポーチが設えられ、本格的な洋風建築が醸す風格が漂います。ここに暮らすのは50代の夫妻とお母様。二連の切妻屋根にシンボライズされた二世帯住宅になっています。
 二世帯住宅の建築にあたって夫妻が要望されたのは、一戸建ての中に2つの住居を有し、互いの気配を感じながらプライバシーも尊重できること、将来は一部を賃貸住宅として活用できること。これを満たす設計の核となったのが「コリドール(通り土間)」です。1階フロアを東西に二分するように設けられ、北側の二世帯共用のエントランスから南側のテラスまでを貫きます。その左右にお母様と夫妻の玄関が配置され、二世帯はお向かいさんの関係になっているのです。2つの住居は完全分離型ですが、庭を共用するプランなので、コミュニケーションを図ることができます。
 西側には、生活の機能がワンフロアに集約されたお母様の住居があります。東側のドアを開けると夫妻の住居。奥様が趣味のフラワーデザインに親しんだり、ご主人が暖炉の前でゲストと歓談したりする非日常空間が1階と中2階に据えられました。それぞれの空間は適度に仕切られ、ほどよくつながり、夫妻各々が自分の時間を大切に過ごすことができる住居になっています。

 
▲坂の上に建つK邸。道路に面する北側と東側に、急勾配の切妻屋根の妻面を見せる洋館建築のデザインが印象的な佇まいを見せる。   ▲傾斜のある角地という敷地条件を活かして、緩やかな階段アプローチがL型につくられている。門扉と手すりはポーチのアンティークレンガに調和するデザインになっている。

 
▲エントランスからテラスまで伸びる1.6m幅のコリドール。腰パネルとドアが同じデザインになっている。右奥はお母様の玄関ドア。左手前のドアを開けるとガレージへの階段がある。   ▲南側にあるテラスと庭。コリドールの先にあり、お母様のリビング・ダイニングや奥様の趣味室からも出入りできる。

傾斜地を活かしたスキップフロアで5層の空間構成

 傾斜地を活かした地階+2階建て住宅のK邸は、スキップフロアによる5層構成になっています。前面道路のレベルに設けられたビルトインガレージは地階にあたり1層目。2階建て部分は4フロアに分かれています。
 二世帯共用のエントランスは階段アプローチの上に配置され、靴のままコリドールからテラス・庭へと出ることができます。その2層目である1階にお母様の住居、夫妻住居の趣味室があります。そこから夫妻の住居は階を上がるごとに中2階の応接室、2階のLDK・サニタリー、さらにその上には主寝室が配置されています。
 スキップフロアの立体的な空間デザインとともに、インテリアデザインにも配慮され、生活空間であるLDKの基調色を、すべての色を包括する白にする一方、趣味室はローズピンク、応接室はモスグリーンがテーマカラーになっています。こうしたカラーリングやモールディングなど西欧の伝統的な意匠デザインは、洋風建築の歴史を積み重ねてきたツーバイフォー住宅ゆえにしっくりと溶け込みました。
 また、夫妻は地震に強いことや、断熱性が高く冬場でも暖かく過ごせるなど、基本性能の高いツーバイフォーの住まいに満足されています。


1F お母様の住居

▲お母様の住居のリビング・ダイニング。左手の掃き出し窓からテラス・庭に出ることができる。右手に見える対面式キッチンは、壁面と同じクリーム色でコーディネートされている。白いモールディングが施された開口の向こうはグリーンを基調にした寝室。

 
▲庭を見ながら調理や後片付けが行える対面式キッチン。オープンだが、LDからシンクやワークトップは見えない。   ▲洗濯物を畳んだり、ちょっとくつろぐのに重宝する和室。モダンテイストに仕上げられているが、床の間と押入もついている。

1F ご夫妻の住居

▲暖炉が設置された中2階の応接室。モスグリーンのカラーコーディネートにより、クラシックな雰囲気が醸し出されている。

   
ローズピンクがテーマカラーの奥様の趣味室。フラワーデザインを楽しむ空間で、ガーデニングを行う庭と行き来するため、シンク前の床はテラスと同じタイル張りになっている   ▲庭夫妻の住居の玄関を入ったところ。左手の白い扉は玄関収納。右手のステンドグラスが飾られた部屋は奥様の趣味室。   ▲中2階から2階への階段。手前に応接室があり、正面の1階のアーチをくぐると奥様の趣味室がある。

2F ご夫妻の住居

▲勾配天井にトップライトが設置されたリビング。ツーバイフォー工法の遮音性は、気兼ねなく音楽を楽しみたいというご主人の希望と合致した。

 
▲夫妻の住居のダイニングキッチン。右手(西側)にサニタリーやユーティリティが隣接しているので効率よく家事をこなすことができる。東側のバルコニーへはキッチンからも直接出られる。   ▲リビングと主寝室の間に配置されたトイレは外部に面していないため、トップライトで明かりとり。

 

スタッフからのメッセージ


フロンヴィルホームズ
名古屋(株)
設計マネージャー
武田 純次さん

ツーバイフォーの強みを生かせるベストビルダーでありたい
 私たちは、お客様にとってベストビルダーでありたいと思っています。国内のツーバイフォー住宅会社の草分けとして、北欧から欧州の各地域・各年代の伝統的スタイルを踏襲した、本格的なデザインを得意としていますが、その一方で輸入住宅という型にはまらないことも、大切にしています。
 間取りや外観の好みだけでなくライフスタイル、趣味、仕事、将来の夢などのお話をさせていただき、価値観を共有しながらプランを練ることで、年月を経ても色褪せない家になることを目指しています。
 我々が数ある工法のなかでツーバイフォーを選択している理由として、線で骨組を造る在来工法(軸組工法)に対して、面で構成するツーバイフォー工法は、高い耐震性、耐火性、そして気密・断熱のしやすさがあります。そのなかで当社は、北米のツーバイフォー住宅と同じスタッド間隔のフィートインチモジュール(407mmピッチ)を採用しているので、日本の尺モジュール(455mmピッチ)より1割程度構造材が多く、構造強度の高い住まいができます。


DATA
敷地面積/277.00m2(83.79坪)
B1階床面積/34.21m2(10.35坪)
1階床面積/134.58m2(40.71坪)
2階床面積/108.09m2(32.70坪)
延床面積/276.88m2(83.76坪)
設計・施工/フロンヴィルホームズ名古屋(株)