一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会

NLTを使った木造の大規模療育支援センター

外壁にウエスタンレッドシダーのサイディング(羽目板)とメタルパネルという異素材を用いた外観デザインが特長。1階・2階の大開口には、外壁と同じ材の垂直シェードが立てられている。

 カナダBC州南西部のリッチモンドにある「GoodLife Fitness Family Autism Hub(グッドライフ フィットネス ファミリー オーティズム ハブ)」は、自閉症スペクトラム障害(ASD)のある患者とその家族を支援することを目的として建設された木造の療育支援センターです。  建物の全幅に設けられた長い廊下の床の構造には2×6材と2×8材を交互に組み合わせたNLT(ネイル・ラミネイテッド・ティンバー)※が使われ、下階の天井に木を現しにした開放的な空間が創出されました。  3階建ての建物にはカウンセリングやトレーニング、研究、教育、情報、サポートなどを行う部屋が数多くつくられています。ASDの人たちに適した環境を確立する目的でプログラムが定期的に変更されるため、あらかじめ大空間を確保し、仕切り壁を使い、プログラムに応じて部屋の大きさを変えられるようにしています。  患者や家族が安らげるように、木製の音響パネル、造作家具など、内装、インテリアにも木材が多用されています。建材や設備は省エネ性・遮音性の高いものが選ばれ、空調(暖冷房・換気)システムは音に敏感なASDの人たちに配慮し、運転音が静かで、エネルギー効率に優れたものが設置されました。

1階のレセプションエリアに設けられた待合スペース。木の天井は外部のエントランスポーチまで一体に伸びている。絵が描かれたクロスを貼ったアーティスティックな空間。 遊び用具が置かれた1階のセラピールーム。用具を自分で出したり片付けたりできるように、壁幅いっぱいに造り付け収納が設置されている。

各フロアの西側に設けられた廊下。左は1階の廊下で、右は3階の廊下。NLTが使用されているため、天井をリブ状に見せ、変化をつけるとともに木の柔らかさを表現することができた。

エントランス正面のレセプションエリアに設置された円形の吹抜けは、2階を通り抜け、トップライトまでつながり、各フロアに光を届け、開放感をもたらす。右は2階ホールで、木の壁と一体化したデザインの両開きドアの奥には多目的講堂がある。

※NLT……Nail-Laminated Timber(ネイル・ラミネイテッド・ティンバー)の略称で、ツーバイフォー工法で使われる2×6や2×8等の構造用製材を釘接合により一体化したパネルである。カナダや米国ではすでに多くの使用実績がある。当協会では、わが国初のNLTの本格導入に向けて強度試験・燃焼試験等を実施中である。

 


所在地:カナダ ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンド市
設 計:NSDA設計事務所
規 模:3階建て、延床面積5,300m2
竣 工:2016年
Photo&Report:Peter Powles

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(一社)日本ツーバイフォー建築協会会報誌「ツーバイフォー」転載記事

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