一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会

築100年の一戸建てを賃貸併用住宅にリノベーションした建築家の自邸

100年前の建設当時のデザインが保持され、英国の建築様式を基調に伝統的芸術性を備えた賃貸併用住宅。「ヘリテイジ・ビルディング」を示すプレートが階段アプローチ脇に掲げられている。濃赤に塗装されたウエスタンレッドシダーの外壁に、屋根の破風板やバルコニーの手すり、玄関ポーチの柱などの白色が映え、印象的なファサードとなっている。

1912年に建てられたこの住宅は、文化的伝統価値がある建物として、バンクーバー市の「ヘリテイジ・ビルディング」に登録されています。築100年を迎えた2012年、現在のオーナーである建築家が購入し、14カ月のリノベーション工事を経て、3住戸の賃貸スペースを持つ併用住宅に再生されました。
リノベーション工事では、建設当時のバルーン・フレーム構造は保持され、ヨーロッパ建築に影響を受けたファサード(南側)の急勾配切妻屋根や階段アプローチ、玄関ポーチとバルコニーのデザインはそのまま残されましたが、間取りは全面的に変更され、南側の3フロアがオーナーの住戸となっています。
賃貸住戸は、倉庫として使われていた地階が改築されて2住戸が造られ、また小屋裏を利用して3階が増築され、メゾネットの1住戸が増設されました。地階の改築は、土台をジャッキアップして地盤の一部分を約50㎝掘り下げ、コンクリート基礎を新設。これにより地階に居室としての天井高が確保されるとともに、基礎が強化され、3階の増築が可能になったのです。動線が重ならないように、地階住戸の玄関は西側に、メゾネット住戸の玄関は東側に振り分けられています。

地階の賃貸2住戸の玄関は西側に配置された。地階に降りる階段が写真手前と奥にある。

オーナーである建築家の自邸のリビング・ダイニング。外観は英国建築様式のシンプルデザインが基調になっているが、玄関(写真左手)を入ると、コーニス(廻り縁)や窓にモールディングをまわした装飾性の高い空間が現れる。白が基調の内装に合わせ、玄関ドアは内側だけが白色に塗り替えられた。 階段の吹抜けが取り込まれたキッチン。オープンにつながるリビング・ダイニングとトータルにデザインされている。

2階の南側に配置されたバスルーム。大きなベイウインドウがあるので明るく、風通しが良い。 2階のベッドルーム。半屋外空間のバルコニー「スリーピングポーチ」は玄関ポーチの上に位置する。
小屋裏空間を利用した3階のゲストルーム。手前にバスルームが設置されている。

 


所在地:カナダ ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市
設 計:ジム・バッセイ
延床面積:416m2
リフォーム:2014年
Photo&Report:Peter Powles

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(一社)日本ツーバイフォー建築協会会報誌「ツーバイフォー」転載記事

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